やっぱり犬はかわいいと思った本
ずっと何が面白いのかわからなかったハーレクイン(失礼)。
でもここ何年かは、ストーリーの長さ・安定の結末・ハッピーエンドが分かっているのにドキドキする展開、という不思議な魅力にハマっている。
何冊も読んでいると、いわゆる「王道パターン」というのが見えてくるが、この物語はすべてが異色だ。
まず、「犬」である。
ハーレクインは恋愛モノなので、基本的には主人公たちの他に、両親・兄弟・親戚と、主人公のライバルになる性格難あり美人、軽く口説いてくる男友達くらいしか登場人物が出てこない。
それが今回は犬がキーマンだ。
割とめずらしい。いや、こんなの見たことがない。
あと、男性キャラが異色。
お金持ちで女性にモテるのは王道だが、とにかく軽い。
最初から主人公のことを「美人だ、ひっかけたい♪」みたいに思う男性キャラは珍しい。大体、男性が主人公に抱く第一印象は、詐欺師か誰かの愛人、地味で真面目な姉キャラ、または派手な遊び人(ほとんど全部誤解)、と相場が決まっている。
性格も、ガチガチに頭が固くなっていたり、過去のトラウマに苦しんでいたりするわけでなく、明るくチャーミングで、最後には犬への愛情に気がつくいいヤツだ。
そして、主人公も変わっている。
お金持ちではないし、秘密を隠し持っているわけでもない。処女ですらない(多分)。
ただひらすらに仕事(と、わんこ)を愛している女性。
いや、これは異色だ。
異色、というか、普通だ。普通のいい話だ。
つまり、ハーレクインの良さ・ハーレクインっぽさ、というのは残念ながらあまり無いのだけれど、なんだかキャラ全員がかわいらしい。とくにわんこ。犬好きにはたまらない。
「こわもて、珍しい血統、ツンデレ」
このコンボにやられる。
それにしても、プレイボーイがヒロインに夢中になる、というのがハーレクインのはずが、わんこに主役を持っていかれちゃった主人公。・・幸せになってね。